「ステップファザー・ステップ」  宮部みゆき

 私にしては非常に珍しいことに。図書館で借りたのではなく本屋で買った本である。本屋で、有栖川有栖の本にするかこれにするか10分悩んで、結局これにした。だって…… イラストレーション「荒川弘」 にやられたんだもん(笑) その隣に平積みされてた「姑獲鳥の夏」のカバーが超かっこよくて、「ううっ…」って心ひかれたけど、さすがに諦めました。一度図書館で借りた本をわざわざ買うほど金持ちではない!!

 宮部みゆきの、軽いタッチの話も好きだ。「龍は眠る」みたいな重い話もいいけど、たまには楽しい話も読みたくなるしね。
 泥棒に入ろうとした家の屋根から転落したプロの泥棒さんと、それを拾った双子のお話。しかも、その双子は遺棄児童。しかも、両親はそれぞれ別の相手と駆け落ちしちゃってる。
 なーんて結構トンデモナイ設定だけど、それに無理がない(ような気にさせる)ところがすごいよなー、って思うよ。さらっと受け入れられるもん。


 親がテキトーだと子供がしっかりする。双子の穿った人生観と、世なれた「お父さん」の会話がいい。私も親にとってあんな子供だったのかな?とか考えるのが楽しい。
 7の短編のうち、一番好きなのは「トラブル・トラベラー」。「お父さん」の双子に対する愛情が芽生え始めた感じ。偽札の話題もおもしろかった。絵画のトリックは何となくつかめたけど、私は基本的に「ある分野の人のプライド」が動機になるミステリは大好きなのだ。


 どこか心温まるミステリが読みたくなったら、「ステップファザー・ステップ」。